先日、俺達に絡んできた時はリーダー的な存在感であった不良aだった
が、腕もよさそうだ。
不良Aに注意を払いながらも確実に不良Cに攻撃を浴びせている。
一方、もう1人の男、不良b はと・・・
殴り合いになってるし・・・
しかも、2対1だから段々とやられていく。
あ〜あ、倒されちゃったよ。
コレじゃ1対4だな。
袋叩きに合うのがオチだ。
・・・・・・。
実況解説か?これは
::第6話 - story2::
それにしてもケンカ上手いな・・・
不良a 。
いくら殴り合いのケンカとは言え、1対4とは余りにも卑怯すぎるな。
ここは一つ手を貸すとするか。
そう言っている間にも1人になった不良a は疲れが出てきたのか、徐々に
攻撃を受ける回数が多くなった。
無理も無い。
すると、4人組のうちの不良Dがどこからか拾ったかは知らないが鉄パイ
プを手にしている。
『止めろ!!』
と俺の直感がそう物語った。
〔〔ここからは二次元中継でお送りいたします〕〕
:::カメラA(耀資、):::
俺は持っていた荷物を放り投げ、草木を払い除けて一直線に鉄パイプを
手にしている不良Dに向かっていった。
:::カメラB(不良側):::
「死ねやぁっ!!!」
叫び声にも似たような寄声で思いっきり鉄パイプを振り上げる不良D。
不良a は咄嗟に気付いたものの避ける気力はもう無かった。
そして、不良Dが鉄パイプを振り下ろすと思いきや
〔〔ここで合成〕〕
『ゴスッ!!!』
不良Dの頬に俺の飛び蹴りが入った。
不良Dは斜めに顔を歪ませながら2秒ほど空中を飛んだ後、頭から地面
に落ち、
『グシャッ!!』
っと音を立てて完全にノックアウト。
他の3人は呆気にとられていた。
「やれやれ、いくら素手でのケンカとはいえ、4対1ってのは卑怯すぎやし
ないかい?」
手をパンパンと叩きながら言う。
「て・・・てめぇは・・・」
どうやら向こうも俺の事を覚えていたらしい。
「お前はそこでジッとしときな」
「オラァ!!」
「ん?」
振り向くと、不良A・B・Cが血管をピクピクさせていた。
「俺ら無視して何ごちゃごちゃ言ってやがんだ!」
「ああ、まだいたの?ゴメン。眼中になかった」
俺のこの一言で不良A・B・Cはキレ、一斉に俺めがけて襲ってきた。
─5分後。
不良A・B・Cは地面に這いつくばるようにして倒れていた。
まぁ、1人1人に一撃必殺を入れれば無理も無いか・・・
もう、5・6時間は起き上がれないな、多分。
服に汚れは付いていないと・・・ よし。
俺は咄嗟に投げ捨てた荷物を拾い上げて、砂埃を落とす。
「そこで倒れてるお前の仲間。タオルを濡らして顔にかけておけば腫れは下が
るし、内臓に支障の可能性があるかも知れないから、一応精密検査だけ受け
させとけ」
俺は背中越しにそう言い残して去ろうとした。
「ま、待ってくれ!!」
俺は半身になって振り向く。
よく見たら顔が腫れあがっている。特に目の上が酷い。
もう立てないのであろうか、両膝を突いている。
「あ・・・あんたの名は?」
律儀な人だね。
時代劇にこんなシーンが良く見られたり見られなかったり・・・
まぁ、いいか。
「甓尖 耀氏B別に忘れてくれてもいいからな」
片手を挙げて俺は公園から去っていった。
公園の前には待ってましたと言わんばかりに片谷さんの運転するリムジンが
止まっていた。
ドアが開き、車内に乗り込む。
「お帰りなさいませ」
「逆探知?」
「はい」
大方そんな事だろうと思った。
「お袋の仕業?」
「はい」
やっぱりか・・・
「片谷さん」
「なんでしょう?」
「そこにいる2人組み。怪我してますから病院に送っといて下さい。治療費は
俺の口座からでも引き落としを」
「はい。もう4人ぐらいおられますが?」
「関わらないでいいです」
「かしこまりました」
片谷さんは、今はもう見かけなくなったトランシーバーを取り出して、甓尖家医
療班に連絡を入れた後、リムジンを発車させた。
1分後、医療班がヘリで到着し、不良aとbを乗せて国立の病院に向かったのだ
った。
残りの不良A・B・C・Dは俺の指示通り、ほったらかしとなり、翌朝、付近の住民
が見つけるまでずっと倒れていたそうだ。
俺は結局、車内でも家路に着くまで学院概要の本を読み続けていた。
そして翌日。
問題となる百合華には会合という名目で納得させて、約束通りにルミナの家に行
き、6時間みっちりとルミナの苦手とする古典・漢文を中心に勉強を教えた。
「あ〜ん、もう!分かんないよ〜!」
そう言うルミナは、現在悪戦苦闘中。
しびれを切らして机の上にベターッとへばり付いている状態だ。
「ホラ。サボってると点とれないぞ」
「でも、難しすぎるんだよ〜」
ルミナは、ぶーっと頬を膨らまして文句を言う。
「古典なんて、文章からの読み取りだろ?ある程度読めたら、あとは分かるって」
「それが出来ないから困ってるのよ〜」
ルミナはプリプリした顔で怒る。
「だから勉強するんだろ?さぁさぁ、もういっかいするぞ」
「ヨウライ君。勘弁してよ〜」
さすがのルミナも少々疲れたようだった。頭から煙出てたし・・・
それでも分からない部分がやっと分かったと喜んで貰えたのでよしとしよう。
しかし、意外な一面もあるものだ。
・・・面白いな。
この時の俺の顔は絶対に『桃○郎電鉄』に出てくる、キングボ○ビーのような顔をし
ていたに違いない。
恐ろしい恐ろしい・・・
幸田家を後にしてその日はなんとか百合華に疑われずに済んだ。
さて、問題は明日である。
・・・・・・。
色んな意味で・・・
さすがに2日連続で会合がある訳ないし、かと言って本当の事を話せる訳も無い。
部屋で唸っている俺を見兼ねた古軒さんが、小さく耳打ちをしてきた。
「百合華様をどこかにお連れになればいかがでしょう?」
・・・・・・。
それだ!!!!
百合華をどこかに連れて行けば万事何事も無く済む!!
・・・はず。
何故その事に気が付かなかったのだろう。
しかし、誰が適任か・・・
誘うとなればやはり、歳が近いほうがやりやすいよな。
しかも、いつも百合華の傍に居る人物と言えば・・・
近山さんか・・・
無茶苦茶不安なんだけどな・・・
一応頼んでみるか・・・
「古軒さん」
「なんでしょうか」
「近山さんを大至急、ここに連れてきてくれますか?」
「かしこまりました」
古軒さんは、スッと部屋から出て行ったと思いきや、すぐに脇に近山さんの頭を挟ん
だ状態でやって来た。
さらって来たのか・・・
ときどき古軒さんのその尋常な早さには恐ろしさを感じる。
さて・・・
面倒な事にならねばいいのだが・・・
