─ ホーリー・メア。
あれから2時間。
5人+美香は意外と真剣に勉強に取り組んだ。
なんだ、やる時はやるじゃないか。
俺は、6人を見て感心していた。
作戦が百合華にバレた事も知らずに・・・
::第6話 - story5::
「ねぇねぇ。美香」
「何よ?」
グリーンが美香に問いかける。
「ジュースか何かだそうよ。私、喉渇いちゃった」
「あたしもー」
「私も」
ピンクとレッドも口々に言い出す。
「はいはい。ちょっと待ってよ」
美香は腰を上げて冷蔵庫に向う。
「あ、じゃぁ私、コップ出すね」
ブルーも立ち上がり、食器棚の中からガラスのコップを取り出して持ってくる。
気が利くじゃないか。
「オレンジでいいわよね?」
美香が、2リットル入りペットボトルのオレンジジュースを片手に机に戻ってきた。
トクトクとコップにジュースが入れられ、俺と美香はそれを飲んだ。
ん・・・? おかしい・・・
目の前が霞んでみえるぞ・・・
「あ〜れ〜・・・?おかしいな〜・・・急に眠くなってきた・・・」
すると、美香が目に手を当てて項垂れていた。
まさか・・・
「お・・お前ら・・・ 睡眠薬・・を・・・?」
俺は途切れ途切れになった声で、半分瞑りかけた目で5人を睨む。
『ドタッ!!!』
首をゆっくりと横に向けると、美香が薬に耐え切れず、床の上で仰向けになって倒れ
ていた。
もとい寝ている。
「み・・・美・・香・・・」
ぐっ・・・ マズイ・・・ このままだと・・・
「うふふ・・・ 美香はダウンしたようね」
「そうね。これで邪魔者はいなくなったって感じ?」
「感じじゃなくて、いなくなったのよ」
5人は途端にあくどい顔になって不敵な笑みを見せている。
「お・・・お前ら・・・ なにが目的・・・だ・・・」
「なにがって・・・」
「ねぇ」
レッドとブルーが平然と顔を見合わせて答える。
「それじゃぁ・・・」
「そろそろ食べちゃう?」
何をっ!!?
「食べ頃かしら?」
「ええ。今が旬だと思うわ」
5人はジリジリと俺に近づいてくる。
え〜と・・・
この状況からすると喰われるのは俺なのでしょうか?
あ〜・・・ なんかそうっぽい・・・
「せ〜の・・・」
「「「「「いただきま〜す♪」」」」」
こ・・・こいつらイーター(喰人)だったのか!?
と、ここで俺も睡魔に襲われて気を失った。
もとい寝た。
あぁ・・・ 俺はココで朽ち果てるのか・・・
親父、先に逝く親不孝の俺を許してくれ・・・
「・・・っち! ・・・ラっち!」
誰だ?俺を呼ぶのは・・・
「・・・ワラっち! カワラっち!!」
この声は・・・ 美香?
「カワラっち!!起きなさいよ!」
なんで声が聞こえるのだろう・・・
俺は喰われた筈なのに・・・
「カワラっち!! もう!仕方ないわね〜!」
何をするのだろう・・・
『バッチーン!!』
「・・・っ!!! いって〜〜〜!!」
凄まじい音とともに、俺の頬に凄まじい痛みを覚えた。
飛び上がると、美香がやれやれと言った様子でこっちを見ていた。
「あれ・・・?俺生きてる・・・?」
「何言ってんのよ。生きてるに決まってるでしょ」
あれ?確か、気を失う(寝る)前に、あの5人に喰われそうになった所で記憶が無くな
った(寝た)んだよな。
「あ、そうそう。あの5人なら寮長に今、説教喰らってるわよ」
なんと!寮長が助けてくれたのか!?
良かった!
助かった!
ビバ・寮長!
「全く・・・ 睡眠薬を飲ませるなんて、どうゆう神経してるのかしら」
「あぁ、全くだ。俺は危うくあの5人に喰われそうになったのに・・・」
「えっ!?」
美香が目を見開いて声を出した。
「なんだよ」
「く・・喰われそうになった?」
「あぁ、危うくな」
「で・・・で?喰われちゃったの?」
「さぁな。確か、5人が『いただきま〜す♪』とだけ言ったのは覚えている。その後は覚
えていない」
「へ・・・へ〜〜・・・」
美香は額に汗を垂らしながら徐々に顔を赤らめていく。
「なんで、顔赤らめんの?」
「えっ!?だ・・だって・・・ 喰われたって言うから・・・」
声がどもる美香。
「喰われてねぇよ。喰われたら死んでるって」
「は?」
美香が素っ頓狂な声を上げた。
「あん?」
「なんて?」
「だから、喰われたら今頃あいつらの腹の中だって言ってんの」
「・・・・・・。」
何故黙る!?
「多分、違うわよ・・・」
「何が?」
「カワラっちの『喰う』とあの子らの『喰う』は意味が違うと思うよ」
「意味が違う?」
「うん」
どうやら俺は勘違いをしているようで、俺の『喰う』と美香の言っている『喰う』とでは意
味が違うらしい。
「第一、あの子らの事を何だと思ってたのよ?」
「イーター(喰人)」
「そんな訳無いじゃない」
確かに、5人も怪物が居られては堪らん。
「じゃぁ、あいつらの『喰う』ってどうゆう意味?」
コレを分からない事にはスッキリしない。
「あ・・あたしに訊かないで!」
そう言うと、美香は顔を赤くしてそっぽ向いてしまった。
「????」
結局、俺は意味が分からないままでいた。
「と、とにかく!カワラっち!寮長がここに来る前に早く帰った方がいいわよ」
「え?あ、あぁ。そうだな」
美香に急かされて俺は手荷物をまとめてそそくさと寮から脱出した。
「きゃーー!!」
「いやーー!」
「許してー!」
ん?この声は・・・?
振り返って見上げると、そこには屋上からロープにぐるぐる巻きになった5人が横一列
に並んで逆さに吊るされており、寮長と思われる人がスゴイ剣幕でロープを手すりにく
くり付けていた。
うわぁ・・・ コレは酷い・・・
しかし、まぁ・・・
成仏してくれ。
南無。
俺は片手で手を合わせると、逃げるようにその場を去っていった。
