「さて、どうする?」


「そうだな。モールには来たものの行く所ないんだよな」



俺達は途方に暮れていた。



「今何時?」


「待て」



俺は携帯を取り出して時間を見る。



「ブッブー」


「なんだよ」


「そこは『そうね大体ねー♪(某歌詞)』って言わないとダメー!」



蓮也が胸の前で両手でバツを作っている。



お前はガキか!!




::第7話 - story 4::




「イテテ・・・ 何も殴らなくてもいいだろ?」



蓮也は頭にたんこぶをつくりながら言う。



「人に物を訊いておいてそれはないだろうがよ。普通」


「分かったよ。そんで?今何時?」


「12時前」


「腹減ったな・・・ 飯喰わねぇ?」


「そうだな。そうするか」



蓮也の提案に俺は二つ返事で了解した。



「ぃよっしゃ!行こ行こ!」



途端に早歩きになる蓮也。


精神年齢5歳児だな、コイツは・・・ 


本当にそう思う。



「何喰いたい?」



蓮也が訊いてくる。



「俺はなんでもいいけど」



俺はテキトーな返事を返す。



「『なんでもいい』ってのが一番困るんだよな」



確かに。



「じゃぁ、お前は何が喰いたい訳?」


「俺?」



すると蓮也は足を止めて真剣に考えている。



「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・?」



さっきから首を上下前後左右に動かしてはいるが結論には至っていない。



「なんでもいいや」



5分間考えて出た答えがコレだった。



「しかし・・・ お前・・また強くなった・・・?」



わき腹を抑えて、死にそうな声で喋るのは蓮也。


ムカついたのでわき腹にアッパーを入れてやったのだ。



「そうだな、実践は1年前とは比べ物にならないくらいやったから、大分腕は上がってる

筈だ」



と軽々しく言うのは俺。



「俺、なんか食欲なくなった気がする・・・」


「気のせいだろ」



そんな筈は無い。

見事に入ったのだから。



「和食でいいか?」


「もう、なんでもいい・・・」



大分弱っている。

いっつも強気な蓮也の珍しい一面だ。



「そう、テンション下げるなよ。奢ってやるから」


「よし行こう」



蓮也は急に立ち直ってスタスタと軽い足取りで歩き出す。 



・・・・・・。


コノヤロウ・・・ 


一杯くわされた・・・ 

『奢る』と言った瞬間に立ち直りやがるとは・・・ 


コイツの特殊技、『死んだふり』の存在を忘れていた・・・ 



「お〜い!耀氏`!早くしろよ!」



あの野郎、何様のつもりだろうか。



そんなこんなで、モール2階にある飲食店街の和食料理店に入った。



飲食店ってデパートとかだと、必ずと言って良いほど2階にある気がするのは俺だけで

あろうか・・・?


アンケートをとってみよう。 



飲食店街は大抵2階に良く分布している。と思う方は、::1::を・・・

そんな事ない。と思う方は::2::を・・・

どっちでもいいよ。と思う方は::3::を・・・


どれか一つ選んで・・・ 



「何を一人でぶつぶつ言ってんの?」



チクショウ。遮りやがった。



「俺は::3::だね」



しかも、心読みやがった!?



「なんでもない」


「とりあえず何か決めろよ。俺はとっくに決まったぜ?」



無駄に早いな。



「じゃぁ、俺は雑炊定食で」


「ん」



蓮也は意味の分からない言葉を言うと、テーブルに設置されている呼び出しボタンを5回

連続で押した。


・・・おい。迷惑だって。



「何回押してんだよ」



俺はうんざりした顔で言う。



「5回」



蓮也はガキみたいな顔で言う。



「アホ」


「さり気に酷いな」


「そんな事訊いてるんじゃねぇよ」


「何がよ?」


「そんなに押さなくてもいいって言ってんの」


「普通押さねぇ?」


「押さねぇよ!それと真顔で言うなバカ!」


「容姿とは裏腹に物凄い単語が飛び出してるよ」


「お前のみだ」


「尚更ひでぇ!」



確かに、こんな事を言う事ができるのはコイツぐらいだな。



「遅いな・・・」



蓮也は首を伸ばして奥のほうを覗こうとする。



「そういや遅いな」



俺も合わせる様にして答える。



「おかしいな・・・ 押しが足りねぇのかな?」



・・・・・・。


まさか・・・ 



「ア〜タタタタタタタ!!」



蓮也は、あろうことか、『北○の拳』のケン○ロウばりの奇声をあげて再び呼び出しボタンを

連打する。


店側からすると、迷惑この上ない。


が、しかし、その効果が出たのか店員さんがやってきた。



「大変お待たせ致しました。ご注文の方をどうぞ」


「あのね〜!遅いよ〜!」



せっかく来てくれたのにまた、帰させるような口調で蓮也が文句を言う。



「すいません。コイツは人間の様で人間じゃないんで気にしないでください」


「は・・はぁ・・・」



ウェイトレスの人は、困ったような顔をしていた。



「あぁ、すいません。雑炊定食とザル蕎麦定食をお願いします」


「かしこまりました。少々お待ち下さい」



ウェイトレスの人はそのまま店の奥へオーダーを通しに行った。



「オイ」


「あん?」



顔を戻すと、蓮也がしかめっ面でこっちを睨んでいた。



「誰がサルじゃ!」



んな事言ってねぇだろ!