とりあえず、途轍もなく態度のデカイ座り方をする美香と、方や静かに清楚に座る

ルミナを加えて話の続行。


え〜と、何の話をしてたんだっけ・・・?


あぁ、そうそう。

俺と蓮也の関係だったな。

へいへい。




::第8話 - story3::




「俺の中学の時の同期」



何とか思い出せたぞ。



「それにしちゃ、この時期に編入っておかしくない?」


「先週までオーストラリアにいたんだよ」


「へ〜。わざわざヨウライ君を追ってここまで?」



そんな事されたら迷惑千万だ。



「いや、日本に帰ってくる前に親に決められていたらしい」


「それはそれで迷惑な話よね」



まったくだ。(←経験者)



「でも、いきなりヨウライ君に抱きつくなんて・・・」



ルミナが少しムッとした様子で言う。



「あらあら?嫉妬かしら?ルミナっち」



美香が待ってましたと言わんばかりにルミナに喰い付く。



「ち、違・・・! ・・・わないかも知れないけど・・・」



と、俯いてその真っ赤な顔を隠す。



「ルミナっちは可愛いわね〜。カワラっちもそう思わない?」


「み・・・美香ちゃん!」


「基本的にルミナは可愛いと思うぞ。」




・・・・・・。


・・・と、心の中で叫ぶ小心者の俺。



「そうだな」



精一杯出た言葉がコレだった。



「よ・・・ヨウライ君まで!」



ルミナの顔からうっすらと湯気が立ち昇っている。 


・・・ように見えた。 



むしろ顔から湯気が出ているのは自分の方かもしれない。 


重症なのか・・・? 


自分に少し呆れる。 



「それにしても・・・ やってくれたわね、カワラっち」


「何が?」



「教室、もうメチャクチャなんだから。今、みんなで片づけしてた所を抜け出してきた

のよ」


「ふーん」


「『ふーん』じゃないわよ。当分、あの教室使えないわよ?」


「うん。凄かったね」


「そうですね・・・」


「ん〜・・・」




・・・・・・。


ん?



「なぁ」


「何?」


「お前、二回喋った?」


「喋ってなんかないけど?」


「金木先生?」


「さっき出て行ったよ」



何っ!?


あのテキトー保険医め!



「それはともかく、さっき言ったセリフ、もう一度言ってくれるか?」


「何で?」


「いいから」


「いや、だから。あたしは、『『ふーん』じゃないわよ。当分、あの教室使えないわよ?』

って言ったの」


「で、あたしが『うん。凄かったね』って言ったの」


「私は『そうですね・・・』って言いました・・・」


「そうだよな・・・ って事は・・・ ココにいるのは俺と蓮也とルミナと美香と・・・ 誰だ・・・?」



蓮也→美香→ルミナ→の順に目を移していくと、ルミナの隣にチョコンと座る一人の女子生徒。


焔だ・・・ 


いつの間に・・・ 



「あ、脩子ちゃん」


「教室の方はどうだった?」



突如現れた焔に全く動じないルミナと美香。


ある意味肝っ玉だと思う・・・ 



「今、片付けの最中で、代わりの教室を先生が探してます・・・」


「そうなんだ」


「ま、ココは教室腐るほどあるから1つぐらいあるでしょ」



なんだ、そのテキトーな見解は。



「ところで脩ちゃん。いつ入ってきたの?」



と、美香がついでの如く焔に尋ねる。



「金木先生とすれ違いに・・・」


「しかし、まるで空気みたいね」


「どういう事でしょうか・・・?」


「いや、だから影がう─」



俺は美香がそのセリフを言う前に、そのよく言葉を発する口を塞いだ。



「んー!んー!?」


「黙ってろ」



美香は察知したのか、抵抗なく何度か小さく頷いた。



「気にするな焔。コイツの独り言だ」


「???」



全く訳が分からないようだ。


ま、分かって貰わない方がこっちとしても安全なんだけどな。



「ん・・・んぅ・・?」



蓮也の目がうっすらと開いた。



「気が付いたか蓮也」


「ここは?」


「保健室」



蓮也はゆっくりと体を起こす。



「え〜と・・・ 確か耀獅ノ飛びついた所までは覚えているんだが・・・」


「思い出さなくていい」


「んあ?」



ぬけた声が返ってくる。



「ところで、そちらのお嬢さん方は?」


「クラスメイトだよ。俺らの」


「へ〜〜」



蓮也は何かを吟味するように3人に見入る。


それ、セクハラだぞ。



「あ、あたし、『幸田・R(ルミネ)・恵子』って言います。ヨロシク」


「これはどうも」


「あたしは『栗橋 美香』。ヨロシク」


「よろしく」


「わ、私は・・・『焔 脩子』です・・・ よろしく・・・」


「どうも。んじゃ、俺も言わねえとな」



蓮也は軽く咳払いをする。



「俺の名前は『車岳 蓮也』。耀獅フ中学時代の同級生。ヨロシクねん」



うざったく、ピースサインまでつける蓮也。



「気が済んだか?」


「まぁな」


「んじゃ、もう大丈夫だな。ルミナ。美香。焔。教室戻るぞ」


「ううぇい!!?待った待った!俺をここに一人残していく気か!?」



髪の毛が、一気に逆立つ蓮也。



「それ以外に何がある」


「いやいやいや!!冷たいってオイ!」



顔が汗だくになる蓮也。



「動けるんならサッサとしろ。行くぞ」


「お前、怪我人に向かって・・・」


「原因は?」


「俺・・・?」


「分かってんなら来い」


「何か、言わされた感があるんだけど!?」



蓮也は文句を言いながら、ベッドから起き上がり、ブレザーを羽織りって俺らに続い

て保健室を後にした。




─1−C。 


誰もいない。


そりゃそうか。


そこには机も椅子も、教卓も払い除けられ、残ったのは床が陥没した空き部屋一つだ

った。



「何処の教室使うんだ?」


「あたしに言われても分かる訳ないでしょ」



5人揃って途方に暮れる。



「あ、いたいた。甓尖く〜ん!」


「ん?」



向こうの方から女子生徒が走ってくる。


クラスメイトのようだ。



「どうかした?」


「えっと、先生が多目的室に連れてきてくれって・・・」


「多目的室?」


「うん。B棟の2階にあるの」


「みんなそこに?」


「うん」


「分かった。それじゃぁ、行くか?」


「行くも行かないも、行くに決まってるでしょ」



強い口調で美香に叱咤される。


何もそこまで言わなくても・・・ 



「耀氏v


「ん?なんだ」



後ろに付いていた蓮也が俺に話しかけた。



「さっきから言おうと思ったんだけどさぁ」


「何だよ。もったいぶらずにサッサと言えよ」


「保健室、空だぜ?」



蓮也を除く、俺・ルミナ・美香・焔はピタッと体の動きが止まった。


そして、数秒固まった後、俺は一人一人に目で合図を送り、再び歩き出した。



結論、『放っておこう』



そもそも、保険医が勝手に保健室から出て行くことが間違ってんだから、俺達に非はない。


うん、ない。


ないはず・・・


ってか、ない。


とりあえず金木先生。


減給処分となってくれ。

合掌。



俺は歩きながら胸の前で手を合わせた。