『ガララッ!!』



「ハァッハァッ・・・」



どうやら先生はまだ来てない様だ。



「ふへ〜・・・疲れた〜・・・」



机に顔をうずめて呟く。



「あ、甓尖君。席、隣だね☆」


「えっ?」



見上げると先ほど体育の時間に俺に話しかけてきた幸田という女の子が立っていた。




::第2話 - story3::




「ああ、幸田さん席そこなの?」


「ウン、そうだよ☆」



なんか雰囲気が百合華に似ている。



「良かった。まだ誰とも喋れなくてこの学校についてあんまり分かんなかったんだ」


「大変だね・・・そうだ!この校内案内してあげようか?」


「え!?本当に?」


「ウン、全然構わないよ」


「そりゃぁ助かるよ。先生に地図貰ったけどコレだけじゃ物足りなくてさ」


「そうなのよ。ココの学校すっごい広いから私達でも時々迷うんだよ。あ、そうだ甓尖君、いつ空

いてる?」


「いつでも構わないんだけど」


「じゃあ早いほうがいいね。今日の放課後でもどう?」


「あ、本当に!?助かるよ」



楽しそうに話す俺たちを見てクラスの女子からはメラメラと炎が上がっていた事を俺たちは知ら

ない。



放課後、俺は幸田と靴箱前で待ち合わせをした。早く着いてしまったのかまだ来ていない様子

だ。(あの子の名前は『恵子』、そんで苗字が『幸田』。どっちも結構言いにくいな・・・ 『ルミナ』・・・

 コレがいいや。一番言いやすい)



そんな事を考えていてもその間、俺はジロジロと見られたり騒がれたり質問攻めにあったり・・・


10分位してルミナがやって来た。



「ハァハァハァ・・・」



どうやら急いできたらしい。



「ゴメンね。遅くなっちゃって・・・」



息切れしながらも俺に謝る。



「あ、全然かまわないよ。そんなに経ってないし」



と、大抵決まって言うセリフで笑って答えるとルミナもニコッと笑って返した。



『ドクン』



ん?何の音だ。



「それじゃぁ行こっか☆」


「あ、ああ」



にっこりと微笑むその姿はまるで天使のようだった。




『ドクン』




何だ。さっきから聞こえるこの音は・・・



「どうしたの?」


「あ、いや。なんでもない」


「まず何処から行こうか?」


「みんな幸田さんに任せるよ」


「あ、甓尖君」


「何?」


「私のこと『ケイコ』でいいからね・・・」


「え?・・・」



今、なんとおっしゃりました?今日始めて会話していきなりお名前ですか?



「だって堅苦しいでしょ?」


「でもさ・・・」


「その代わり、私も甓尖君のこと名前で呼ぶから。ね?甓尖君、名前は何て言うの?」


「『ヨウライ』だけど・・・」


「分かった。あと・・・」


「何?」


「そんなに丁寧に話さなくても良いよ」


「えっ!!?」



一瞬、心の中を読まれたのかと思った。



「同い年なんだからさぁ。ね?」


「いいのか・・・」


「ん?」


「いいのか」


「うん」


「いいんだな。結構口悪いぞ!こんなんだぞ?」


「全然気にしないよ」


「そうか」


「じゃぁ、行こっか。ヨウライ君♪」



ルミナは満面の笑みで俺の手を引いていた。




『ドクンドクン』




(ま・・・まさか・・・)



そう。そのまさかであった。その時は気付いていなかったが、どうやら俺はこの子の事を

好きになってしまった様だ。



「でね〜。ここが図書室。確か10万冊の本が置いてあるんだって☆」


「へ〜・・・ 立派だな」


「私も一回も来たことないんだけどね。エヘッ」




(ヤベェ・・・可愛い・・・)




「ヨウライ君はどんな本を読むの?」


「え、ああ俺?俺はね・・・文学史とか歴史小説とかだな」


「へ〜。難しい頭してそうだもんね」


「どうゆう意味ですか?」


「アハハッ 冗談だよ〜」


「幸田さんってさ・・・」


「あ〜!!」


「何?」


「も〜。名前で呼んでって言ったじゃん」


「ああ、ゴメンゴメン。でもさ、俺名前で呼ぶとかって結構苦手なんだよね」


「あ、そうなんだ。じゃぁ、ヨウライ君の好きな呼び方で呼んでいいよ」


「じゃぁ、『幸田』でいい?」


「ウン!いいよ」


「ありがとう」



俺は微笑んで返した。



その時、夕焼けが当たって見えたのか、彼女の頬が赤くなっていたように思えた。


その後、ルミナに色んな所を案内して貰い、何とか校内の構造が分かった。


しかし、4時間もかかってしまい終わったのは夜の7時だった。



「すっかり遅くなったな」


「お疲れ様でした」


「フフフ」


「クスッ」



自然と笑みがこぼれる。



「それじゃぁ、ヨウライ君。私帰るね」


「帰るって1人で?」


「だってみんな帰っちゃったもん」



変な罪悪感に駆られるからその言い方はやめろ。



「それじゃぁ、校内を案内してくれたお礼にうちまで送ってくよ」


「エッ!?あ、いいよ別に」


「遠慮しないで」


「そう?」


「そう」


「じゃぁ、お願いします」


「喜んで。じゃぁ、行こうか」


「ウン☆」



俺はもともとこうゆう性格なのだろうか放ってはおけないのだ。


2人並んで校門を出る。



「家は近いの?」


「ウン。10分ぐらいかな?」


「近いね。俺なんか車で20分だよ」


「ヨウライ君、車で来てるの?」


「ああ。家が大きいからそれなりの土地じゃないと住めないんだ」


「へ〜。お金持ちなんだ」


「親父が社長やってるから・・・」


「私のところはねお母さんがデザイナーやってるの」


「デザイナー?」


「うん。幸田美子(こうだ よしこ)って言うんだけど」


「幸田美子って、あの有名な一流デザイナー!?」


「そう」


「うちのお袋が大の幸田美子のファンでな。確か服をデザインして貰ったって

喜んでたんだけど」


「エッ!?じゃぁ、お母さんが言ってた甓尖さんってヨウライ君のお母さん!?」


「凄い事してんな・・・うちの親達」


「そだね。アハハッ」


「ハハハッ」



話がはずむ。



5分ぐらい歩いて公園を差し掛かった時、どうやら男子校の不良生徒達であろうか、

4人ぐらいで俺たちの前に立ち塞がった。