「ん・・・ん!?」



目が覚め、ガバッと起き上がった俺の傍には、お袋と古軒さんが付き添っていてく

れた。



「耀氏I目が覚めたのね!」


「お袋・・」


「耀似l。お体の調子は?」


「古軒さん・・・なんとか大丈夫です」


「そうですか。それはようございました」


「それにしても私、とても驚いたわ。帰ってくるなり倒れちゃったんですもの。それ

に服もボロボロで・・・何があったの?」


「そうだ!お袋!親父は!?」


「え!?ああ、お父さんなら今帰ってきた所よ。大広間にいるわ」



俺はベッドから飛び起き全速力で部屋を飛び出した。



「ちょ、ちょっと!耀氏I?」



お袋の制止の声も聞かずに大広間を目指して走った。



「耀似l?・・・」


「坊ちゃま、お体の方は・・・」



廊下ですれ違う執事やお手伝いさんを尻目にとにかく走った。


このいいようのない怒りを親父にぶつけるために。




::第1話 - story3::




時刻はすでに7時を過ぎていて、親父は食事を取っていた。


「おお!耀氏B体の方は大丈夫か」



食事を止めてこちらに歩み寄る親父。



「いやいや、心配したんだゾボラァッ!!」



そんな親父に俺は勢いよく助走をつけて、とび蹴りを食らわした。


蹴りは脇腹に見事にはいり、親父は3・4mほど宙に浮いた状態でその後、ゴロン

ゴロンとバウンドをつけて床を転がっていった。



「てんめぇ!クソ親父!!」


「ハハハ、もうすっかり元気なようだな」



鼻血を出しながら目一杯の笑顔で俺を見る。



「どうしたの!?耀氏I」


「ただいま〜。あれ?どうしたの?」




そんな騒ぎを聞きつけたのかお袋が食堂に小走りでやってきた。


百合華も丁度学校から帰ってきたらしく、一家全員が食堂に集まった。



「おい、親父!なんで俺が女子高に通わなきゃならねぇんだ!!」


「ええぇ〜〜っ!!?女子高ですって!?」



お袋は予想以上のショックを受けたらしかった。



「お兄ちゃん!女の子になったの!?」


・・・コイツは天然なのか?わざとなのか?



「いやいや、驚いただろ。ワッハッハッハ!」


「ワッハッハじゃねぇってんだ!事情は全部理事長から聞いたぞ。いつも絶対10秒

考えろってあれほど言ってんのに即座にOKなんか出すんじゃねぇ!」


「気づいたときにはすでに遅かってなぁ。どうしようもなかったのだ」


「あなた!一体何を考えてらっしゃるの!」



お袋は珍しく怒っていた。



「そうだよ!お父さん!お兄ちゃんを女子高になんか行かせたら、彼女が出来ちゃ

うじゃない!」



どうゆう意味でしょうか?百合華・・・



「なんだ二人して。耀獅煬こうでOKしたと理事長から電話を頂いたのだ。それな

らば仕方があるまい」


「本当なの?耀氏v


「しょうがなかったんだよ。あそこまで行っておいて話しはなかった事にして下さい。

なんて言えねぇよ」


「耀獅烽サう言っておるし、まぁいいではないか。ワッハッハ!それはともかく百合

華。お前は何で耀獅ノ彼女が出来てはいかんのだ?」



流しやがった。



「だって百合華、お兄ちゃん大好きなんだもん♪」


「そうか。なら仕方がないな。ワッハッハッ」



仕方ないで済ますなよ・・・



「百合華。お兄ちゃんは百合華だけのものじゃないのよ」



さすがお袋。



「お兄ちゃんはお母さんのものでもあるのよ」



あんたもか!!?



「わしだって耀獅フことは大好きだ」



この一家どうにかしてるぞ・・・・


俺は頭が痛くなる事を覚えた。



「とにかく、すぐに新しい制服を新調してくれよお袋。これじゃぁ、明日から学校行け

ねぇよ」


「分かったわ」


「それじゃ・・・ 風呂入ってくる」


「わしも一緒に入ってやろうか?」


「冗談は顔だけにしてくれよ親父・・・」


「こりゃ一本とられたな。ワ〜ッハッハッハ!」



笑い上戸の親父である。


とりあえず今日はさっさと寝よう。

異常に疲れた。


大広間を後にして、風呂場に向かう。



「お兄ちゃん♪」


「ん?」



振り返ると百合華が立っていた。



「どうした?百合華」


「お兄ちゃん今からお風呂?」


「そうだけど?」


「百合華も一緒に入っていい?」


「百合華・・・・」



俺は正直、ため息しか出ない。


率直に言おう。


妹の百合華は驚異的なブラコンだ。


何度風呂に入られた事か・・・ 

なのでほぼ諦めかけなのだ。



「百合華。一緒に風呂に入るのはもういいけど、水着を着て入れよ」


「本当!?わ〜い!!ありがとう♪」



百合華はとても嬉しそうな顔をして階段を上がっていった。



「何があんなに嬉しいのやら・・・」



ため息をつきながら浴室に向かう。



『ザパーン』



豪快に頭から湯をかぶる。



「ふぅ・・・」



頭を左右に振りながら水しぶきを飛ばす。


勿論、俺も水着な訳です。



「なんで自分の家の風呂に水着で入らなきゃいけないんだか・・・」



1人ブツブツと文句を言いながらかけ湯をして湯船に入る。


俺の家の風呂はデカイ。


人1人で入るには物凄く勿体無い。



この家では使用人、執事、お手伝いなど決められた時間に入るということはなく、

自分の暇が出来れば自由に入っても構わないという決まりがある。


そこは親父の寛大さだ。


しかし、俺の入る時間は誰も入らない。


なぜなら俺は1人で風呂に入るのが好きであり、みんなは気を使ってありがたくも

俺に1人で入らせてくれるようにしている。


この浴槽はおそらく30人は余裕で入れるであろう程の広さである。


気持ちがいいので少しウトウトとしていたその時、この静かな空気は1人の人間によ

って破られた。



「お兄ちゃ〜〜ん♪♪」



百合華だ・・・ 


その大きな声は百合華に間違いなかった。



「百合華。もう少し静かに入ってこないか」


「ごめんなさ〜い♪」



百合華がヒタヒタと足音を立てて俺の方に近づいてくる。


俺も話ぐらいは聞いてやろうと体をひるがえした。


その数秒後、俺の鼻から大量の鼻血がキレイなアーチを描いて噴射した。



『ブバアァ〜〜〜ッッッ!!』



「キャアァ〜〜!!お兄ちゃん大丈夫!?のぼせたの?」


「っゆ・・・百合華〜〜!!お前、水着は〜っ!!?」



百合華は俺の忠告を無視して水着を着ずに入ってきた。



「だってお風呂で水着着てたら体洗えないもん」


「せっ・・・せめて前ぐらい隠してこんか!!」



久々に怒鳴った。



『ドタドタドタ!!』



百合華のお手伝いの足音だ。



「耀似l!お嬢様!何事で御座います!?」


「ああっ!お嬢様!いくらご兄弟とは言え、胸ぐらいお隠し下さい!!」


「耀似l!また出血を!?」


「お嬢様!!お兄様と入られるときは水着を装着なさいとあれほど申しております

のに!!」


「耀似l!早く輸血を致しませねば!!」



いっぺんに喋るな!!ややこしい!!



「これ、百合華!」


「お母さん」


「いい加減になさい!あなた、自分でお兄ちゃんを出血多量で殺す気ですか!!」


「えっ!!お兄ちゃん死んじゃうの!?イヤ〜〜!!」



百合華は裸のまま俺に抱きついてきた。


さすがに中学2年生にもなった百合華は性器が発育していたため、俺は再び噴水の

ように鼻血を噴いた。


意識は朦朧としており、担架で部屋まで運ばれ、ゆず色に染まっていた湯船が俺の鼻

血で真っ赤に染められるというなんとも無残な状態となった。